耳鼻科の腫瘍|下北沢耳鼻咽喉科頭頸部外科クリニック|世田谷区下北沢の耳鼻咽喉科・頭頸部外科

〒155-0032  東京都世田谷区代沢5丁目31番8号
No.R下北沢2階B区画
TEL03-5430-3387
WEB予約
ヘッダー画像

耳鼻科の腫瘍(頭頸部腫瘍)

耳鼻科の腫瘍|下北沢耳鼻咽喉科頭頸部外科クリニック|世田谷区下北沢の耳鼻咽喉科・頭頸部外科

頭頸部外科(とうけいぶげか)とは

頭頸部外科(とうけいぶげか)とは

鎖骨から脳までの範囲で眼以外の部分を頭頸部領域と呼び、この領域は我々耳鼻咽喉科頭頸部外科の診療範囲になります。頭頸部領域の良性・悪性腫瘍を担当する科を頭頸部外科と呼びます。元々耳鼻咽喉科の中の一分野に過ぎませんでしたが1999年に国内初の頭頸部外科講座として東京医科歯科大学に設立されました。現在では頭頸部外科を専門とする耳鼻咽喉科医も全国に多く存在し、日本耳鼻咽喉科学会も日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会と改称しています。当院もその流れを受け、また院長自身も頭頸部外科医であるためクリニック名にも頭頸部外科という言葉を含めることとしました。

頭頸部領域の部位を細かく紹介すると鼻・副鼻腔、口腔(舌など)、上咽頭、中咽頭、下咽頭、喉頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺(耳下腺、顎下腺など)など多くの臓器が含まれています。
部位によって症状が異なりますが、舌や喉の痛み、飲み込みにくさ、声枯れ、首のしこり、顔面神経麻痺などが症状として挙げられます。

頭頸部癌の発癌リスクは一般的には飲酒、喫煙です。特にお酒で顔が赤くなる方は危険性が高いです。一部にはウイルスが原因と言われており、上咽頭癌の場合はEBウイルス、中咽頭癌ではヒトパピローマウイルス(HPV)が原因になることがあるとされております。特に近年では飲酒喫煙ではなくウイルスによる中咽頭癌が増えてきております。また、ミュージシャンが頭頸部癌になった場合に声の使い過ぎ・職業病とされる誤解もありますが歌唱などでは発癌することはありません。声の使い過ぎで声が枯れることは勿論ありますが、喉頭癌などではなく声帯ポリープなどの良性疾患です。なお声帯ポリープも癌化することはありません。

鼻副鼻腔癌(びふくびくうがん)

喫煙やある種の化学物質の吸引などが原因となります。症状が現れにくいので自覚しにくく発見が遅くなってしまう病気です。
症状としては鼻詰まり、鼻血に加えてかなり進行すると目の動かしにくさなどが起きることがあります。発症初期は副鼻腔炎と誤認されることがあります。

治療としては手術が第一になります。発見が遅くなりがちな病気なので頭蓋底手術と言って頭蓋骨の底に当たる部分を切除、あるいは脳の一部を切除するような手術が必要となるケースも珍しくはありません。手術以外の治療としては抗がん剤・放射線の併用療法や一部の病院では動脈へ抗がん剤を注射する動注化学療法が行われることがあります。

口腔癌(こうくうがん)

頭頸部癌の中で最も多く、口腔癌の中では舌癌が最も多いです。飲酒喫煙以外に口腔内の衛生状態が悪かったり歯並びが悪かったりすることでの慢性的な刺激が発癌の原因と言われています。日本では馴染みがないですが噛みタバコも原因と言われています。

舌などの痛みや硬い腫れなどが症状として現れます。進行すると摂食・嚥下に支障が出ます。早期癌の場合は部分切除あるいは小線源療法が対象となります。進行癌の場合は切除が第一選択となります。

咽頭・喉頭癌(いんとうがん・こうとうがん)

一般的に飲酒・喫煙が原因となります。特にお酒が好きだけど顔が赤くなりやすい人は注意が必要です。鼻とのどの境目の上咽頭と呼ばれる場所ではEBウイルスによる発癌の可能性があります。ウイルスの分布の問題で中国や台湾などの東アジアの国で多く発生することが知られています。
扁桃腺に発生する癌(中咽頭癌)の場合はウイルスによる発癌の可能性もあります。子宮頸がん同様のHPVによる発癌です。性交渉などが関連していると言われています。前述のように中咽頭癌ではHPVによる発癌の比率が増えてきています。子宮頸癌とは異なり、今のところはワクチンによる予防効果はまだ明確になっていません。

症状は痛みに加えて飲み込みにくさや声枯れなどの症状があります。喉頭癌は声帯に発生することが多いので声枯れの症状で早期に発見されることが多いです。治療は早期であれば放射線治療が行われます。表在癌と呼ばれる超早期に発見された場合は内視鏡あるいはロボットなどでの切除が行われます。進行癌の場合は抗癌剤・放射線治療あるいは、喉仏を切除する手術を行うことがあります。

唾液腺癌(だえきせんがん)

発癌の原因ははっきりとは分かっていません。唾液腺癌の特徴的な症状としては顔面神経麻痺、痛み、皮膚の発赤が三徴として知られております。治療は原則的には手術です。頭頸部癌の組織型は扁平上皮癌と言われるものが殆どですが、唾液腺癌は扁平上皮癌以外のことが多いため、重粒子線治療と言われる特殊な放射線治療が適応となることがあります。
開発中、あるいは上市されている抗がん剤もいくつかありますが残念ながらまだ適応が限られております。唾液腺癌の種類は唾液腺導管癌、粘表皮癌、腺様嚢胞癌などを始めとしてかなり沢山の種類があることからも治療選択の支障となっております。

また、唾液腺にできる良性腫瘍では多形腺腫というものの頻度が高いですが、多形腺腫は長い年月をかけて癌に変わることが知られているので発見された場合は手術をお勧めします。

外耳道癌(がいじどうがん)

100万人に1人の発症とされるまれな癌です。症状としては耳だれや出血、聞こえにくさ、痛みなどがあります。とても進んでくると周囲にある顔面神経の麻痺が起きます。
治療は原則的に手術・あるいは抗がん剤と放射線治療ですが希少なため明確な治療方針は定まっていないのが現状です。耳に発生する癌であるため癌の専門家以外に耳の専門家がいないと治療が難しいことがあります。そのようなエキスパートの揃う適切な病院をご案内します。

  • 頭頸部癌の治療に放射線治療は欠かせないものですが、歯が悪い場合などに放射線治療後に顎の骨が壊死することが知られております。また、口腔内の衛生状態が悪いと口腔癌の発生の原因にもなります。当院は歯科医院ではありませんが定期的な口腔ケアを全ての方にお勧めします。

甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)

甲状腺に発生する悪性腫瘍としては乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫があります。頻度としては乳頭癌が最多であり、かつ予後良好なので甲状腺癌全体の予後も良好です。ただ、頻度は低いものの未分化癌は極めて予後が不良です。未分化癌は乳頭癌から転化することが知られています。

髄様癌は多発性内分泌腫瘍症(MEN: multiple endocrine neoplasia)の一端として知られております。遺伝性疾患なので遺伝子検査が推奨されております。これらはいずれも手術適応です。手術後の再発・転移の際には放射線内用療法が行われます。未分化癌に関しては手術前に化学療法を実施するなど施設によっても方針が異なります。悪性リンパ腫は慢性甲状腺炎を背景として発生します。血液腫瘍なので甲状腺の手術以外に化学療法が必要となります。
長らく手術、放射線内用療法しか治療法のなかった甲状腺癌ですが近年は治療薬の開発が進んでおります。